2022年公開
監督:ギレルモ・デル・トロ
主演:ユアン・マクレガー
あらすじ
第一次世界大戦下のイタリア王国で暮らすゼペットは、爆弾によって、息子カルロを喪ってしまう。彼はカルロの墓の側に松の木を植え、息子の死を悼みながら20年間を過ごすことになる。やがて、成長した木にはコオロギのセバスチャン・J・クリケットが住み着くようになるが、酒浸りになっていたゼペットが新しい息子を作り出すために木を切り倒してしまう。ゼペットは人形を作る途中で眠ってしまい、その間にゼペットの嘆きを聞いた木の精霊が人形に命を吹き込み、人形に「ピノッキオ」と名前を与える…
パンクなピノッキオ
本作はその名の通りの「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」
メイキング見ただけで恐ろしく手間がかかってるのが分かるストップモーションアニメの映画。完成に15年余りの歳月がかかったとか。
ただあまりにも綺麗に動きすぎてるから事前情報がないとそうとはわかんないと思う。普通にクラシックさを出した3DCGアニメと言われても差し支えないレベル。もう少しカクついた動きだったらそう見えたかもしれんけど。とにかく動きは素晴らしい。まさに生きている動き。
何より素晴らしかったのは主人公がピノッキオだということ。
ディズニー映画版ピノキオでは、実質的にジミニー・クリケットが主役だった。彼の視点でピノキオを描いてるにすぎず、言ってしまえば「ピノキオの物語」をただ眺めているにすぎない。良い悪いは別として。
だが本作では、良心であるクリケットは登場はするも、あまり側にいることなく、正直ほとんど役に立っていない。
そんでピノッキオ。
見た目はクラシックな可愛らしい(不気味?)木の人形でありながら、中身はかなりパンキッシュ。
自由奔放でやんちゃで、自分に正直に生き、言うことを聞かず我を通そうとする。人によっては鼻持ちならない厄介者に見えるかもだが、彼は自分自身で考え、導き出した答え=「良い子」に向かって自分で向かってゆく。
でも決して唯我独尊ってわけじゃなく、ゼペットやクリケット、死の精霊などの交流から学び、成長してゆく姿も描写される。この映画は、「良い子になってハッピーエンド」ではなく、主人公ピノッキオの成長を描いた作品なのだ。
作中「限りある時間と死」の描写が多々あり、ラストの展開は驚かされたと同時に切なくもなった。戦時中という背景もあり、シリアスな雰囲気が漂う。
だが全体的には暗く湿った感じはなく、歌や笑いありの喜劇のような作風で観やすかった。
やたら潰されるクリケットが面白い。「人生は痛みを伴う…」
キャラクターの演技(というか声)が素晴らしい。
ユアン・マクレガーゆえに、クリケットの声がイケメンすぎる。知的で落ち着いた声。
ところでクリケットの歌もユアンなんだろうか?そこら辺の情報が出てこないからわからんのだけど、もしそうなら歌うますぎ。
精霊を演じたのはティルダ・スウィントン。
この方の声は、神秘的で心地のいい、良い意味で人間離れしたイメージ。どうでもいいけど精霊のビジュアル的に「コンスタンティン」のガブリエルを連想してしまった。
一番驚いたのは、スパツァトゥーラを演じたケイト・ブランシェット。
ガラドリエル様が、ヘラ様が、猿を演じてる…だと!?全然気づかなかったし、違和感もなかった。あんな品のある声なのにすごいな…
総評…大人向けだが、観やすく、笑えて楽しい要素もあるピノッキオ。メイキングも一緒に観るともっと楽しめる
最後まで読んでいただきありがとうございました!
明日も23時ごろに投稿予定!
ではまた〜ノシ