またデニーロかよっ!?

主にネトフリとアマプラ映画の感想駄文

ゴジラ-1.0

GODZILLA MINUS ONE

 

 2023年公開

 監督:山崎 貴

 主演:神木隆之介

 

 

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本編 

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0CVTQ6YKV/ref=atv_dp_share_cu_r

 

 

 あらすじ
 第二次世界大戦末期の1945年(昭和20年)。敷島浩一は特攻へ向かう途中で零戦が故障したと偽り、小笠原諸島に位置する大戸島の守備隊基地に着陸する。その日の夜、島の伝説で語り継がれる、全長15メートルほどの恐竜のような生物「呉爾羅(ゴジラ)」が基地を襲撃する…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴジラ映画」としてみると評価が分かれる作品

 

 とくに往年のゴジラファンの中には、今作があまり好きじゃないって方もいるのではないだろうか。

 というのも人間ドラマが多めでゴジラの登場(暴れる)シーンが少ないからだ。「人間なんてどうでもいいからとにかくゴジラが暴れてんの見せろ」っていう方は、今作を観て不満に思ったのではなかろうか。あくまで勝手な予想だけども。

 だが私的には最高のゴジラ映画だった。

 

 

 私は希少な、「ゴジラ映画の人間ドラマが好きな人間」だ。

 ゴジラ映画の人間ドラマはどんなに酷くてもそれなりに楽しめる。酷いと言われたKOMやゴジコンも余裕で楽しめたし。

 

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 昭和の評判悪い人間臭いゴジラの時なんか人間ドラマの方が好きなくらいだ。ちなみにお気に入りは怪獣総進撃と南海の大決闘。

 

 

 …話が逸れたが、そんな私が最高だと思わせるくらい人間ドラマが素晴らしかった。

この映画は「ゴジラ映画に付随する人間ドラマ」ではなく「人間ドラマという土台の上にゴジラが登場する」作品なのだ。

 

 

 そもそも舞台が「戦後、全てを失った日本」ってだけでストーリーが出来上がる。そして「逃げてしまった特攻隊の青年とゴジラとの因縁」が序盤でしっかり描かれているために、観てる側も主人公敷島に感情移入し、敷島の心の内も意図もなんとなく理解できるため、話もすんなりと入ってくる。主人公の敷島がちゃんとストーリーを動かしているのだ。その固められた土台にゴジラというアイドルが載せられるのだ。

 

 

 確かにゴジラの登場シーンは過去作品と比べても物足りない。が、その分登場した際のインパクトは絶大だ。

 今作のゴジラ。下半身どっしりで足がぶっとい。

その足で銀座を闊歩するシーンは大迫力だった。群衆を踏み潰したシーンは効果音も相まってトラウマになった人もいるのではなかろうか…。

 

 

 銀座を破壊するゴジラを実況するアナウンサーは初代オマージュだとすぐにわかった。…できれば初代のように「さようなら!さようなら!」って言って欲しかったかも。あと新生丸とゴジラの海での追っかけっこはジョーズのオマージュらしい。言われてみればそうかも。

 

 

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 そしてなんといっても熱線発射シーン。海外ファンがトレーラーで歓喜の声上げてたシーン。

 激鉄を上げてくように背鰭が徐々に上がってくのは最高にカッコ良かった。歴代でも1番好きな熱線シーンかもしれない。完全に砲撃だったもんなあ…

 

 

 厳密には違うが、ゴジラ映画お馴染みの人間側の秘密兵器があったのも良かった。

 震電。カッコいいじゃないの…。見た目が普通の戦闘機と違うから秘密兵器感が出てた。あと橘があの装置をつけてくれなかったら、多分敷島は失敗してたと思う。

 

 

 神木隆之介が演じた主人公敷島。

 情けなさ弱々しさが全面に出ていながら、確かな生への執着も感じさせる良い演技だったと思う。

 

 敷島はなんだかんだ言いながらも生きたいと願う人物だった。それは最初の特攻から逃げたシーンから見て取れる。引き金を引けなかったのも、典子たちと生活し出したのも生きたかったからだ。でなければすぐ自決したはず。

 こういう原始的な欲求はストーリーを動かす主人公に相応しい動機だ。そう考えるとストーリーもすんなり理解できる…ような気がする。

 

 

 佐々木蔵之介が演じた新生丸の船長、秋津 淸治。

 おせっかいだが頼り甲斐のある親父的存在…なんだけどなんというか随分と大仰な芝居がかった言い方なのが少し気になった。作りすぎてる声というか少し違和感。

 

 「誰かが貧乏くじ引かなきゃならねえんだ!」

 ↓

 ゴジラ出現

 ↓

 「…こりゃいくらなんでも無理だ…」

 

 ここ海外だと笑いがおこったシーンらしい。

 

 

 吉岡秀隆が演じた野田健治。

 温厚でいかにも博士といった風貌だが、海神作戦の説明時の目を見開いて力説するシーンは、ゴジラを葬るという執念と狂気を感じた。

 出撃時の演説が素晴らしかった。穏やかで真の通った声だから尚更響くものがあった。

 

 

 安藤サクラが演じた太田澄子

 「火垂るの墓」のおばさん的な人かと思いきや…もう好感度がVの字回復だった。

 

 

 総評…賛否は分かれるが気になったら一度は観てほしいかも…

 

 

 最後まで読んでいただきありがとうございました!

 ではまた明日〜ノシ

シャーロック・ホームズ

Sherlock Holmes

 

 2009年公開

 監督:ガイ・リッチー

 主演:ロバート・ダウニー・Jr

 

 

 

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 本編

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00FIWNK8Y/ref=atv_dp_share_cu_r

 

 

 あらすじ
 邪悪な神秘主義組織の頂点に立つブラックウッド卿は、予言通りに生き返り、全世界を悪で塗りつぶし、支配しようと企てる。人々がパニックに陥る中で、ホームズだけは胸を躍らせていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミステリーとアクションの両方が楽しめる

全く新しいシャーロック・ホームズ

 

 

 シャーロック・ホームズとその助手ワトソンが、魔術で世界を支配しようとするブラックウッド卿と対決する物語。

 

 

 意外にもアクション要素満載で、殴り合いあり、銃撃戦あり、逃走撃ありと派手な場面が多い。かつしっかりと推理、ミステリー要素も楽しめる贅沢な内容となっている。

 魔術というオカルト要素もハッタリが効いてて面白かった。神秘的なもので片付けることなく、しっかりとタネがあったのも安心した。

 

 

 ロバート・ダウニー・Jr演じるシャーロック・ホームズが素晴らしい。

公開当時は賛否両論あったらしいが、私がイメージする「有能だけどダメ人間」というホームズ像を見事に演じてくれたため、個人的に大満足だった。

 

 というかまんまトニー・スターク。大富豪でもなく、パワードスーツも着ないトニー・スターク。洞察力で戦術を組み立てるシーンとか特にそれを思わせた。あのシーンは、ホームズならああいう戦い方するだろうと妙に納得させられた。もしかして原作もそうなのかな?

 

 アメリカ人ながら流暢なキングスイングリッシュで演じた…が、そこは正直よくわからなかった。

 

 ドレジャー戦の時の、首根っこ掴まれて投げられる時の顔と悲鳴が可愛くて笑えた。

 

 

 ジュード・ロウ演じるワトソン博士。かっこいい。

 苦労人でお人好しってのはイメージ通りだが、ガッツリ殴り合いもやるから脳筋のイメージがついてしまった。ホームズの推理から地名や建物を先読みして言うシーンは、長年の付き合いを思わせる良いシーンだった。

 あとホームズがワトソン大好きすぎてほっこりした。

 

 

 モリアーティ教授のスリーヴガンがかっこいい。ほとんど登場シーンないのに、あれだけで存在感があった。

 

 

総評…クラシックでありながら斬新さを併せ持った現代版シャーロック・ホームズ

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた明日〜

ローマの休日

Roman Holiday

 

 1953年公開

 監督:ウィリアム・ワイラー

 主演:グレゴリー・ペックオードリー・ヘップバーン

 

 

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本編

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アマプラ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07PPY7T77/ref=atv_dp_share_cu_r

 

 

 あらすじ
 ヨーロッパ某国の王位継承者であるアン王女は、ヨーロッパ各国を親善訪問中である。最後の訪問先であるイタリアのローマで、過密なスケジュールによる疲労感と、自由の無い生活への不満が高じ、王女はついにヒステリーを起こしてしまう。主治医は彼女に鎮静薬を投与するが、王女は薬が効き始める前に、秘かに滞在先の大使館を抜け出す…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が国と王家に対する任務を自覚してなければ──今夜、帰らなかった」

 

 

 この映画で、1番好きかもしれないアン王女のセリフ。

 

 

 原題「Roman holiday」とは「他人を犠牲にして得る楽しみ」という慣用句だそうで、まさに映画の内容はそれだった。王室を抜け出し、気ままにローマの街を観光し、街やらパーティー会場やらで騒ぎを起こす。王女の行動は迷惑極まりないものだろう。

 

 

 だが最終的に王女は自分の立場を理解し、元の生活に戻る。この場面が切なくも素晴らしい。アン王女は最初と最後でまるで別人だった。

 「病気が治った」というセリフ。この病気ってのはアン王女の勝手な振る舞い=”Roman holiday”を指しているのではないのだろうか…

 

 

 そんなことよりオードリー・ヘップバーンが可愛い。

 まさに天使。マジで妖精。

 ”美人”じゃなくて”可愛い”にカテゴライズされる美貌。それでいて品もあるという無敵っぷり。おてんば可愛い。

 真実の口のシーン

 主演のペックの策略で、素の悲鳴をあげちゃうヘップバーンが可愛い。その後のリアクションはもっと可愛い。髪型が可愛い。ギターでぶん殴るの可愛い。

 

 

 印象的なシーンはいくつもあるが、スペイン広場でのアン王女が個人的にベスト。

階段の端に座って一輪の花を持ちながら、もう片方の手でジェラートを食べる王女を煽りのアングルで撮ったシーン。アン王女のおてんば可愛さが出てて素晴らしい。

 ちなみにスペイン広場。2019年からゴミを捨てる観光客が急増したため、座ったりすると罰金とられるらしい「君はヘップバーンにはなれないねえ…」

 

 

 ジョーを演じたグレゴリー・ペック

 声がセクシー。ハンサムでしかもあんなセクシーな低音ボイスってのがヤバイ。

 ジョーは良くも悪くも不器用で、割を喰う人物だなと思った。

 

 

 コメディ色が強く、笑えるシーンがたくさんあっただけに、ラストシーンの切なさが際立つ。

 王女の表情の変化、写真を送るアーヴィング、記者会見後の会場を最後に後にするジョー…どれも印象に残る素晴らしい場面だった。

 

 

 ワイラー監督はカラーで撮らなかったことを後悔したそうだが、その気持ちが十分にわかる。もしこの作品がカラーだったら…

 

 

 総評…パブリックドメインのため、Youtubeでも全編観られます。観たことない方は是非!

ジョーズ

Jaws

 

 1975年公開

 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 主演:ロイ・シャイダー

 

 

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 あらすじ
 アメリ東海岸に位置する穏やかな町・アミティ島。ある夕暮れ、ビーチパーティに参加していた若い女性クリッシーが1人で薄暗い海に入って泳いでいると、突然、何かによって水中に引き込まれ行方不明となる。
 翌朝、ニューヨーク市警からアミティに赴任してきて間もない警察署長のマーティン・ブロディは、浜辺にクリッシーの死体の一部が打ち上げられたと連絡を受ける…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サメ映画の原点にして頂点

 

 「サメ映画」というジャンルを築いた偉大な作品。これがなければ、メカやゾンビや竜巻に乗ってくるアホなサメ映画なんて生まれなかった。

 だが「サメ映画のオススメは?」って聞かれたら、ベタでもネタでもなく、マジでジョーズと答えるだろう。

 

 

 ビーチに出没した巨大な人喰いサメを退治するという、シンプルなストーリー。

 今見ても全然怖い。公開から50年くらい経ってるのに、全く色褪せない。

サメ映画のパイオニアってのもあるが、ひとえに撮り方や演出が上手いのだと思う。

 

 撮影時のトラブルで機械仕掛けのサメがあまり出せなかったことにより、存在を仄めかす演出というのがもう大当たり。恐ろしいのはサメそのものではなく、サメがいるというシチュエーションなのだ。見る側が共感するのはそこだから。

 

 たしかリドリー・スコット監督作の「エイリアン」も直接的ではなく、存在を仄めかすような恐怖だったと思う。

 

 

 この作り物のサメがまた素晴らしい。作り物ゆえに生気を感じず、まさに劇中の、血も涙もない恐ろしいモンスターに見えたからだ。クイントの語りもサメの恐ろしさに拍車をかけていた。

 

 

 サメの全貌が見られるのはだいぶ後からだが、その分インパクトが大きかった。

 1番好きな場面は、文句を垂れつつ魚の切り身を投げてるブロディの後ろからサメが現れるところ。不意打ちにも程がある現れ方で、ブロディを演じたロイ・シャイダーの反応も素晴らしかった。

 

 

 浜辺で監視するブロディの横顔、オルカ号の舳先で海を背に立つクイント、アップショットでカメラ目線で睨むフーパーなど、何気に印象的な画が多かったように思う。

 

 

 極め付けはジョーズのテーマ。作曲はスターウォーズで有名な作曲家ジョン・ウィリアムズ。素晴らしい。このテーマ流れただけで見えない恐ろしさが伝わってくる。本当に素晴らしい!

 

 

 海に精通したクイントとフーパーが戦果を上げられず、海が苦手でほとんど足手纏いだったブロディが、サメを対峙するという図が皮肉が効いてて面白かった。

 

 

 総評…サメ映画のパイオニア。公開から50年程立つのに今でも怖い!

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

Knives Out

 

 2019年公開

 監督:ライアン・ジョンソン

 主演:ダニエル・クレイグ

 

 

 

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 あらすじ
 裕福な犯罪小説家ハーラン・スロンビーがマサチューセッツ州の邸宅での85歳の誕生パーティーに家族を招待する。翌朝、ハーランの家政婦フランがハーランが喉を切られて死んでいるのを発見する。警察はハーランの死因を自殺と認定するが、正体不明の者が私立探偵ブノワ・ブランを雇い捜査を依頼する…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アガサ・クリスティ

 クラシックな殺人ミステリー

 

 著名な小説家ハーランを殺した犯人を探すため、主人公の探偵ブランが、容疑者となるハーランの身内を交えて推理する話。

 

 

 クラシカルで耽美なビジュアルが目を引く。

 古い屋敷、書斎、隠し階段、隠し窓とミステリ的な仕掛けも見てて面白い。

 

 

 意外にも倒叙ミステリだったのが驚いた。古畑任三郎とかの犯人の反抗描写が先に開示されてるやつ。中盤でそれが出てきたから見方が変わった。変則的な展開。

 

 

 ミステリにほとんど触れたことない素人の感想だが、結末は割と平凡だなと思った。

 

 推理ミステリーって、映画だと犯人=俳優のネームバリューだと思ってる。予想しやすい。「ドラゴン・タトゥーの女」観た時もなんとなく犯人予想できたし…

 

 

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 そうなると面白い要素は、予想外の結末(どんでん返し)か、伏線を回収した巧みなトリックだと思うけど、残念ながらそれもなかった(個人的にそう感じた)なんというか、トリックの力押し感をひしひし感じたんだよね。

 良く言えばわかりやすい、馴染みやすい。

 悪く言えば平凡、期待を超えない。

 

 

 主人公ブランを演じたのは、007の人ことダニエル・クレイグ

 もう探偵役がはまりすぎてヤバイ。所作や言動が優雅で紳士的。ブノワ・ブランってフランス人みたいな名前もいい。あとこの人絶対ナルシストだよな。

 

 

 何かと不運なヒロイン、マルタを演じたアナ・デ・アルマス。

 可愛い。安定の可愛さ。嘘つくとゲロ吐く体質って世の中生きづらいだろうな。あと献身的な看護師なのになんだそのドライビングテクニックは…

 

 

 ハーランの孫にして問題児、ランサムを演じたのはクリス・エヴァンス

 ん?この組み合わせどっかで観たような…

 

 

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 こうしてみるとクリエヴァの声って結構しわがれた声だから悪役やっても様になるのかもね。お菓子食べてるシーンが可愛い。

 

 

 ハーロンの家族らもクセの強い連中ばかりだが、後半から一気に存在感がなくなったというか、重要度がなくなった感じ。

 あと遺産の相続シーンがとにかく醜い。古今東西問わず、醜いものの一つだよね。遺産相続シーン。

 

 

総評…古典的ミステリの雰囲気を楽しむ映画

時計じかけのオレンジ

A Clockwork Orange

 1962年公開

 監督:スタンリー・キューブリック

 主演:マルコム・マクダウェル

 

※画面点滅注意

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Amazon.co.jp: 時計じかけのオレンジ (字幕版)を観る | Prime Video

 

 

 あらすじ
 舞台は近未来のロンドン。クラシック音楽、中でもベートーヴェンをこよなく愛する15歳のアレックス・デラージ(Alex DeLarge)をリーダーとする少年4人組“ドルーグ”は、今夜もコロヴァ・ミルク・バーでドラッグ入りミルク“ミルク・プラス”を飲みながら、いつものように夜の世界の無軌道的な暴力行為“ウルトラヴァイオレンス”の計画を立てていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 原作とラストが違うことで

 全く異なる内容となった映画

 

 

 原作はアンソニー・バージェスディストピア小説

 この小説。アメリカでは最終章が削除された状態で出版したため、キューブリック監督もこのバージョンで作ったとのこと。

 だから原作と映画では結末は異なり、それによって内容が全く変わってしまった。

私は最終章が入ったこの小説を読んだことがあったため、映画版は少々面食らった。

 

 

 かいつまんでいえば、原作は少年から大人に変わろうとしてゆく主人公アレックスの青春を描いた内容で、映画版はたんなる全体主義政策への風刺?といった内容なのだ。もしも最終章込みで映像化すれば、内容が違って観えることだろう。

 

 

 ──が、だからと言って映画版は駄作というわけじゃない。むしろ素晴らしい。小説読んでたくせになぜもっと早く観なかったのか…。

 

 

 ”アルトラ”と”インアウト”と”ルドヴィヒ”が満載の”ホラーショー”。”ガリバー”に”トルチョック”して”デボチカ”を”インアウト”しまくる描写が多い。

 何言ってるかわからない?私も劇中で何言ってるかほとんどわかってないよ。

 

 

 キューブリック作品のインテリアは素晴らしい。前衛的すぎる。コロバ・ミルク・バーといい、アレックスの私室といい、色使いといいデザインといい、今見ても斬新。1番好きなのはフランク邸内のインテリア。やたら鏡が多いのは、必要以上に画面に動きを入れるため…なのかな?知らんけど。

 

 

 俳優たちの演技が素晴らしい…というか凄まじい。

 主人公アレックスを演じたマルコム・マクダウェル。冒頭からヤバイ。

 一切瞬きせず、ほとんど身じろぎせず薄ら笑いを浮かべる姿で一気に引き込まれた。カリスマ溢れる怪演。アレックスは極悪な不良なのに、知的で端正な顔立ちだから全然憎めないのよね。人懐っこい仕草で笑顔も可愛いし。

 

 治療後、老人やドルーグどもからリンチされるシーンあったけど、原作だともっと酷い仕打ちだったからなんか生ぬるいなと思ってしまった。

 

 マルコム。実験シーンで装置が目にブッ刺さったり、水責めシーンでガチで窒息しかかったりと、結構酷い目に遭ったらしい。

 

 

 アレックスたちからボコられた作家のフランク。演じたのはパトリック・マギー。

 この方の演技も凄まじかった。後半のアレックスをひたすら睨み続けるシーンがすんごい印象に残る。ずっと同じ画で、アレックスが他の人と会話してんのにその隅でじっと睨んでる姿は恐怖しか感じない。マジあのシーン怖いよ…でも唐突な白目剥き出しシーンはちょっと笑った。

 

 

 主人公の担任教師デルトイドを演じたオーブリー・モリスの演技も良かった。

片目が閉じかかかった表情や同じ単語を連呼する喋り方とか、癖が強いキャラだった。

「あン?」

 

 

 総評…傑作。だが結構気分害するレベルの暴力シーンやレイプシーンあり

プラトーン

Platoon

 

 1986年公開

 監督:オリバー・ストーン

 主演:チャーリー・シーン

 

 

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本編

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あらすじ
 1967年。アメリカ合衆国の白人の大学生・クリス・テイラーは、両親の反対を押し切って大学を中退してアメリカ陸軍に志願し、ベトナム共和国南ベトナム)のカンボジア国境付近に駐屯するアメリカ陸軍第25歩兵師団のある小隊に配属される…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”僕らは自分自身と戦っていた”

”敵は自分の中にいたんだ”

 

 

 ベトナム帰還兵であるオリバー・ストーン監督による、ベトナム戦争の悲惨さを描いた戦争映画。

 

 

 とにかく隊内のギスギスした雰囲気が観てて辛い。

 兵士同士の軽口や罵り合いにも棘がありまくりで、すぐにでも殴り合いが始まりそうな緊張感があった。

 あとなんか身体がむず痒くなる。アリとかヒルとか…

 

 敵はベトナム軍のはずなのに、身内同士で諍いしてる戦争映画。

 冒頭のセリフは、主人公クリスのラストの言葉。まさにこの映画を表したセリフだった。

 

 

 諍い起こしてる原因である二人の軍曹。この二人が魅力たっぷりでよかった。

 

 

 悪の軍曹

 トム・ベレンジャー演じるバーンズ軍曹。

 まさに鬼軍曹。軍の規律のために捕虜や仲間を平気で撃ったりするやばい人。顔に走る傷痕が貫禄たっぷりでカッコいい。

 鬼のような非道な人物だが、ベトナム戦争によって狂ってしまったと考えると哀れに思えてくる。

 

 終盤、どさくさに紛れてクリスを打ち殺そうとするバーンズの表情が最高。狂気がかった目が恐ろしかった。

 

 

 善の軍曹

 ウィレム・デフォー演じるエリアス軍曹。

 というかウィレム・デフォーの兵隊姿がマジでカッコいい!めちゃくちゃ様になってる!バーンズと違い、過酷な環境下でも倫理観を失わない聖人。

 

 有名な天を仰ぐジャケット。

 知らない人は多分主人公と勘違いするやつ。エリアス軍曹です。

 

 エリアスの最期、バーンズ(味方)だとわかり安堵の笑顔を見せたあとの表情の変化が素晴らしかった。アップショットで目元だけを映してたのに、表情が変わったのがわかる。

 

 

 総評…グロ・エグ描写は少ないが、精神的に辛くなる戦争映画